5年前の3.11
5年前の3.11。
僕はまだ学生で、勤務先の喫茶店でバイトをしていた。
お昼時から勤務に入ったが、
客足も途絶えつつあり、のんびりと仕事をしていると突然揺れが発生した。
でも僕は「ただの地震かなぁ・・・」とのんびり構えていた。
しかしその後電車の運行がストップし、店にお客がなだれ込んできたのだ。
僕はその時に思った。ただ事ではないことが発生したのだと、
休憩時間に街を出ると、行き場を失った人達があふれだしていた。
いつも客足がまばらな某牛丼チェーン店も、店の在庫が切れたとか何とかで店を締め切っている。
コンビニに駆け込むと、棚の品物がほぼきれかけていた。
悲惨な光景を目にしたのは、勤務終わり後の同僚のワンセグから映し出された光景だった。
この世の出来事とは思えなかった。
まさかこんなことが起きるなんて、言葉を失った。
卒業式は延期された。
仮の卒業証書授与式は、教授が定型化された文章を述べるだけのものだった。
震災は多くの人の価値観を変えたらしい。
人はいつどうなるかわからないんだ。
ただ当時の僕はそういう風に思っていなくて、それに気づいたのは社会人となって働き始めてからだった。
あの日からもう5年。
誰かの何がどう変わったんだろうか。
そのことをふと思い出した。